Journeys|旅の入口

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Samarqand Part 11 最終章|歩いたから、見つけたもの|墓地で迷い、古代サマルカンドへ

最終章|歩いたから、見つけたもの

さらに歩いていく。

見えてきたのは、ハズラティ・ヒズル・モスク。

サマルカンドのハズラティ・ヒズル・モスク外観

ここには以前も来たことがある。

そのときは、建物そのものを一生懸命見ていた。

壮大な外観。

細かな装飾。

そして高台から見るサマルカンドの景色。

今回は少し違う。

せっかく歩いてきたのだから、もう一度ゆっくり中を見てみることにした。

ハズラティ・ヒズル・モスクの入口と装飾

この場所には、かつてゾロアスター教の寺院があったと伝えられている。

長い時間の中でイスラムの聖地となり、今ではこんな姿になっている。

淡いレンガ色の壁。

青と水色の幾何学模様。

ハズラティ・ヒズル・モスクの木柱と幾何学装飾

木の柱が並ぶ回廊。

そして、目を上げる。

ハズラティ・ヒズル・モスクの色鮮やかな天井装飾

天井には赤、緑、青。

レギスタンの圧倒的な青とは、また少し違う。

もっと柔らかくて、どこか人の暮らしに近い色に感じる。

ハズラティ・ヒズル・モスクの回廊と天井装飾

こういう場所に来ると、どうしても大きな建物ばかり見てしまう。

でも、歩いていると、どうでもよさそうなものまで気になってくる。

ハズラティ・ヒズル・モスクにある飲料水設備

飲料水。

ウズベク語、ロシア語、英語。

こういうものを見ると、急に「観光地」から「日常」に戻ったような気がする。

ハズラティ・ヒズル・モスクについては、以前の記事でも詳しく書いている。

ハズラティ・ヒズル・モスクを訪れた以前の記事はこちら


さらに上へ。

最上部には、少し不思議なものがあった。

ガラス張りの、小さなドームのような構造物。

ハズラティ・ヒズル・モスク最上部のガラス張りのドーム

モスクの一部なのか、塔なのか。

よく分からない。

でも、こういうものがあると、つい覗いてみたくなる。

そこから階段を降りる。

外に出ると、広い歩道が伸びていた。

ハズラティ・ヒズル・モスク周辺の緑豊かな遊歩道

さっきまで細かな装飾ばかり見ていたせいか、急に視界が広くなった。

木々が並び、花が咲き、人がゆっくり歩いている。

そろそろ、少し休みたい。

ちょうどトイレもあった。

ハズラティ・ヒズル・モスク周辺の有料トイレ

入口には、料金を集める女性が座っている。

有料らしい。

財布を出そうとすると、彼女はこちらを見て、手を振った。

「いい、いい」

そんな感じだった。

なぜか、フリーパス。

モスクの壮麗な装飾よりも、こういう出来事の方が、あとになって妙に覚えていたりする。


ユダヤ人墓地で迷子になる

ハズラティ・ヒズル・モスクを出る。

ここからは、アフラシアブの丘の方向へ歩いていく。

赤みを帯びた壁が続き、その横にはきれいに整備された道。

アフラシアブ方面へ続く赤い壁沿いの道
アフラシアブの丘へ向かう整備された歩道

しばらく歩いていると、壁に見慣れない文字があった。

サマルカンドのユダヤ人墓地を示すヘブライ語の案内

ヘブライ語。

そして、その下には英語で。

JEWISH CEMETERY。

ユダヤ人墓地。

こんなところにあるんだ。

サマルカンドのJewish Cemeteryと書かれた案内板

門を見る。

開いている。

なら、少し入ってみよう。


中に入ると、すぐ目の前に大きなモニュメントが現れた。

サマルカンドのユダヤ人墓地にある大きなモニュメント

思わずカメラを構える。

一枚撮る。

もう少し見ようとした、そのときだった。

少し離れたところにいた男性が、こちらに向かって腕で大きくバッテンを作った。

あ。

ここは撮影禁止なのか。

すぐにカメラを下ろした。

それ以上、写真を撮ることはしなかった。


でも、墓地の中は少し歩いてみることにした。

墓石を見ながら進んでいく。

ロシア風の墓石もある。

顔写真が入っているもの。

文字だけが刻まれたもの。

石だけのもの。

同じ墓地の中でも、いろいろな形がある。

しばらく歩いてから、そろそろ戻ろうと思った。

ところが。

入口が、どちらだったのか分からなくなった。

墓地の中は、思っていたより広い。

しかも、道が入り組んでいる。

さっき通ったような気もする。

でも、違う気もする。

とりあえず、こちらだろう。

そんな感じで歩いていく。

しかし、なかなか入口に戻れない。

これは、まずい。

まさかサマルカンドまで来て、ユダヤ人墓地で迷子になるとは思わなかった。

このまま出口が見つからなかったら、どうするんだ。

そんなことを考えながら、また曲がる。

そして。

あ。

見覚えのある景色が見えた。

これなら大丈夫。

そこからは迷わなかった。

無事、外へ出ることができた。

思わず、少しほっとした。


ひたすらアフラシアブへ

墓地を無事に脱出。

ここから先は、もう迷うことはない。

道はほぼ一本道。

次に目指すのは、アフラシアブの丘。

あとは歩くだけ。

……と思っていた。

歩く。

まだ歩く。

思っていたより、ずっと遠い。

途中で何度か、Yandexを呼べばよかったかな、と思った。

でも、ここまで来て呼ぶのもなんだか悔しい。

もう少し。

もう少し。

そんなことを繰り返しながら、ひたすら歩いた。

途中の写真はない。

それくらい、ただ歩いていた。

そしてようやく、建物が見えてきた。

サマルカンドのアフラシアブ博物館外観

アフラシアブ博物館。

アフラシアブ博物館とアフラシアブ遺跡の入口

入口には「AFROSIAB SITE」の文字。

ここは、かつてソグド人たちが暮らしていた古代サマルカンドの中心。

今のサマルカンドより、さらに古いサマルカンドだ。

アフラシアブ遺跡と博物館の入口

ここまで歩いてきた甲斐はあった。

中に入ると、展示は想像していた以上だった。

アフラシアブ博物館の館内展示

土器。

小さな像。

装飾品。

暮らしに使われていた道具。

アフラシアブ博物館に展示された色彩豊かな古代の装飾

鮮やかな色。

人物。

動物。

長い時間の向こうにあった暮らしが、少しずつ形になって見えてくる。

アフラシアブ博物館に展示されたソグド人の硬貨

そして、ソグド人が使っていた硬貨。

こういうものを見ると、「昔ここに人がいた」ということが急に現実味を帯びてくる。

名前だけではない。

歴史だけでもない。

ここで暮らし、食べ、話し、物を売り買いしていた人たちがいた。

アフラシアブ博物館に展示されたソグド人の遺物

正直、途中ではYandexを呼ばなかったことを少し後悔した。

でも、ここまで来ると、その気持ちは消えていた。

歩いてきた甲斐がある。


古代サマルカンドの上を歩く

博物館を出る。

今度は、そのままアフラシアブの丘を歩いてみることにした。

ここは、かつてソグド人たちが暮らしていた場所。

でも、今目の前にあるのは、乾いた土と草に覆われた起伏のある大地だった。

古代サマルカンドの居住跡が広がるアフラシアブの丘

歩き始める。

思っていたより、ずっと凹凸がある。

起伏のあるアフラシアブ遺跡の丘

道らしい道もあるような、ないような。

低いところへ下りて、また上る。

アフラシアブ遺跡の古代居住跡を歩く道

ここに街があった。

そう言われなければ、ただの荒れた丘にしか見えない。

でも、さっき博物館で見た土器や硬貨、暮らしの道具を思い出すと、見え方が少し変わってくる。

この土の下に、人の暮らしがあった。

古代サマルカンドの遺構が残るアフラシアブの丘

さらに上へ。

一番高いところまで来ると、急に視界が開けた。

遠くに、今のサマルカンドの街が広がっている。

アフラシアブの丘から望む現在のサマルカンド

古代サマルカンドの上から、今のサマルカンドを見る。

レギスタンも、ビビハニムも、あの街の中にある。

でも、今立っているのは、もっと古いサマルカンド。

かつてソグド人たちが暮らした場所。

その丘の上から、今のサマルカンドを見ている。

古代と現在をつなぐ場所に、自分が立っている。

そんな気がした。


今日はずいぶん歩いた。

予定していなかった場所に入り、墓地で迷い、長い道を歩き、最後は古代サマルカンドの丘まで来た。

地図を見ながら歩いていたはずなのに、最後に残ったのは、地図には書かれていないものばかりだった。

歩いたから、見つけたもの。

サマルカンドには、まだそんな場所がたくさんありそうだ。


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