The Netherlands Chronicles 第2章|ナールデンの朝
The Netherlands Chronicles – Chapter 2: Morning in Naarden
今回の宿は、Vesting Hotel Naarden。ナールデン大教会と市庁舎がある交差点に建つ、小さなブティックホテルである。

案内された部屋は、まるで屋根裏部屋のような雰囲気だった。傾斜した天井の下に設けられた室内はメゾネット構造で、古い建物らしい趣を残しながら、水回りもきれいに整えられている。
屋根裏部屋のような空間を上り下りしながら過ごしたことは、今もよく覚えている。
そしてホテルの屋根を見上げると、煙突の上にはコウノトリのつがいがいた。

古い建物の煙突、その上で静かに羽を休めるコウノトリ。屋根裏部屋のような客室に泊まり、そのすぐ上にはコウノトリがいる。いかにもヨーロッパの古い街らしい、少し現実離れした光景だった。
長い移動の疲れもあったのだろう。部屋に戻ると、いつの間にか眠っていた。
そして翌朝。まだ静かなナールデンの街を歩いてみることにした。
町の目抜き通り、マルクト通りを進んでいくと、小さな朝市が開かれていた。
どんな街を訪れても、時間があれば朝市や市場へ足を運ぶようにしている。名所を巡るだけでは見えてこない、その街で暮らす人たちの日常に触れられるからだ。
店先に並んでいたのは、新鮮な野菜や果物、チーズ、そして海産物。


小さな町の朝市とはいえ、並んでいるものは思った以上に豊かだった。

その中で目に留まったのが、オランダを代表する食べ物のひとつ、ハーリングだった。

若いニシンを塩漬けにして熟成させたもので、尻尾をつかみ、顔を上に向けてそのまま口へ運ぶ独特の食べ方でも知られている。テレビなどで何度も見たことがあり、一度は試してみたいと思っていた。
ただし、今回は仕事での訪問である。生ものでもあり、万一のことを考えて、ここは自重することにした。プライベートの旅であれば、おそらく真っ先に試していただろう。


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