Warsaw Chronicles 2026 第8章|Hotel Santeで考える、ワルシャワのサウナ論

Warsaw Chronicles 2026 – Chapter 8: Sauna Reflections at Hotel Sante

大聖堂の静けさから、Hotel Santeの熱気へ。ワルシャワで考えたサウナのこと

ピエロギを食べ終え、BoltでHotel Santeへ戻る。

ワルシャワ旧市街を歩き、教会を訪ね、広場を眺め、人魚像に出会い、そして最後にピエロギまで食べた。半日にも満たない滞在としては、かなり濃い時間だったと思う。

けれど、身体は正直だった。石畳の道を歩き続けた脚には、しっかり疲れがたまっている。

そこで、この日の最後のお楽しみ。Hotel Santeのサウナへ向かう。

今回このホテルを選んだ理由のひとつは、サウナとウェルネス施設があることだった。ワルシャワで一泊だけ。観光に全振りするという選択肢もあったけれど、旅の終わりに身体を整える時間があるというのは、やはり大きい。

Hotel Santeは、ただ泊まるだけのホテルというより、ウェルネス施設を併設したモダンなホテルという印象だった。

館内は清潔で、どこか近未来的でもあり、旧市街の石畳を歩いてきたあとに戻ってくると、そのコントラストが面白い。

昼間のワルシャワ旧市街は、破壊と再建の記憶を抱えた街だった。夜のHotel Santeは、その街の中にある、まったく別の時間の流れる場所だった。

サウナというのは面白い。

温度や湿度、設備だけでなく、そこにいる人たちの振る舞いに、その国の文化がそのまま出る。同じヨーロッパでも、国が変われば、身体の扱い方も、裸への距離感も、静けさの種類も変わる。

これまで、ドイツではいくつものサウナを体験してきた。マインツ、バート・ホンブルク、ヴィースバーデン、そしてベルリン。

とりわけベルリンのVabaliは、今でも強く印象に残っている。都市の中にあるとは思えないほど広く、リゾートのように作り込まれた空間。そこでは、全裸でいることは特別なことではない。むしろ、それがいちばん自然な状態として受け入れられている。

ドイツのFKKサウナでは、服を脱ぐことが「解放」であり、「平等」であり、ある意味では自然そのものでもある。老若男女が同じ空間で、肩書きも年齢も、いったんすべて脱ぎ捨てて、ただひとりの人間として熱気と向き合う。

そこには、明るく、開放的で、ある意味では何でもありの自由さがある。

けれど、ワルシャワのHotel Santeで感じた空気は少し違っていた。

もちろん施設は非常にモダンで、サウナとしての設備もきちんとしている。けれど、そこにいる人たちの身体の扱い方には、どこか節度があった。

サウナエリアそのものは、当然ながら写真を撮る場所ではない。だからここから先は、画像ではなく、記憶に残った空気と身体感覚を頼りに書いていく。

多くの人が大判のタオルをきちんと身体に巻き、静かに熱気と向き合っている。水着ではない。けれど、ドイツのようにすべてを自然体でさらけ出すのとも違う。

ドイツのサウナが「解放」だとすれば、ワルシャワのサウナは「慎み」なのかもしれない。

もちろん、それを単純に宗教だけで説明するつもりはない。けれど、昼間に聖ヨハネ大聖堂で見た祈りの空気を思い出すと、そこにはどこか通じるものがあるようにも感じられた。

カトリックの国としての慎み深さ。人前での振る舞いに対する節度。身体を完全に解放するのではなく、タオルで包みながら静かに整えていく感覚。

それは、ドイツ語圏のFKK文化とは明らかに違うものだった。

数時間前、私は聖ヨハネ大聖堂で、パイプオルガンと聖歌に包まれていた。静かに祈る人々の中で、ただその場の空気に身を置いていた。

そして夜、Hotel Santeのサウナ室で、タオルを身体に巻いた人々が、静かに熱気と向き合っている。

場所も意味もまったく違う。けれど、その静けさにはどこか通じるものがあった。

ワルシャワという街の慎み深さが、祈りの場所にも、サウナの中にも、形を変えて流れているように感じられた。

サウナ室で汗をかき、水で身体を冷やし、少し休む。その繰り返しの中で、旧市街を歩き続けた脚の重さが、少しずつほどけていく。

ワルシャワ滞在は、わずか一泊。けれどその短い時間の中で、街を歩き、歴史に触れ、教会で音を聴き、ピエロギを食べ、最後にサウナで身体を整えた。

旅というのは、名所を見ることだけでは終わらない。

何を食べたか。どんな音を聞いたか。どんな熱に包まれたか。どんなふうに身体が疲れ、そして回復していったか。

そういう小さな感覚の積み重ねが、あとになって旅の記憶を形づくっていく。

Hotel Santeのサウナを出るころには、身体はすっかり軽くなっていた。

ワルシャワという街を、最後に少しだけ身体で理解できたような気がした。

サウナを出て部屋に戻ると、まず欲しくなるのは水だった。

部屋のテーブルにはピッチャー、あるいはカラフェが置かれている。そしてエレベーターホールにはウォーターディスペンサーがあり、ガス入りとガスなしを選ぶことができる。

これはありがたい。

サウナのあとに、冷たい水を自分のペースで飲めること。しかも、炭酸水まで選べること。こういう小さな設備に、そのホテルが本当にウェルネスを考えているかどうかが出る気がする。

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